川崎化成の光カチオン増感剤アントラキュアー®シリーズは、UV重合開始剤が働きにくい長波長域のUV光を吸収し、硬化速度や硬化物特性の向上を実現するUV増感剤です。
光カチオン増感剤 アントラキュアー®
光カチオン増感剤 アントラキュアー® シリーズ
光カチオン増感剤とは
開始剤が励起できない光エネルギーを吸収し、これを光重合開始剤に伝播することで重合速度や深部硬化性の改善、硬化特性(接着性、表面硬度等)を向上させる働きを持つ添加剤のこと
川崎化成工業の光カチオン増感剤アントラキュアー® シリーズの特徴
アントラキュアー® シリーズは、UVカチオン重合の増感剤です。
他剤に無い400nm付近の特異的な長波長UV吸収域を持ち、従来の高圧水銀は勿論、長波長LEDやレーザーなどの長波長UV光を光重合に活用できます。
光重合開始剤への効率的なエネルギー伝播により、重合を加速し、厚膜での深部硬化性を向上させるなど、硬化性を改善する働きを持ちます。
アントラキュアー®シリーズは、国内外の法規制に対応しております。
他製品との違い
- 開始剤の有効吸収領域を超えた長波長の光エネルギーを有効に活用することができます。
- 開始剤の種類を選ばず、増感効果を発揮します。
- 開始剤の添加量削減できます。
- 厚膜重合を可能にします。
- 海外向けにも対応可能です。
- アントラキュアー® UVS-581との併用により硬化時の着色を低減することが可能です。

こんな方にお勧め
数百μm以上の厚膜を実現したい方
厚膜重合を行う場合、深部まで到達する長波長UV光を使用する必要があります。アントラキュアー®は、深部まで到達する長波長UV光を効率よく吸収し、開始剤にエネルギー伝播することでmmオーダーの厚膜重合を可能にします。
LED光源を使用したい方
省電力で発熱を抑えるLED光源を使用する場合、その発光波長は365~405と長波長側でありかつ短波長です。アントラキュアー®はすべてのLEDの波長域のUV光を効率よく吸収できるので、従来の配合系に加えることで、現行と同等以上の硬化速度と特性発現が期待できます。
光カチオン増感剤 アントラキュアー®の用途・適用例
インク | フレキソインク、スクリーンインク |
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インクジェットインク | 大判印刷用インクジェット、工業用インクジェット |
コーティング | 飲料缶ベースコート、クリアーコーティング、剥離紙用コーティング、塗料(床用、自動車) |
接着剤 | 偏光板接着剤、工業用 |
電子・表示材料 | フォトレジスト、シール剤 |
厚膜 | 3Dプリンターインキ(光造形)、補修剤 |
開始剤の有効吸収領域を遮光する添加剤との併用系
開始剤吸収領域を遮光するような添加剤配合系では、硬化速度が著しく遅くなります。
アントラキュアー®は、この遮光領域を超えた長波長UV光を活用し、短時間での硬化を可能にします。

LED光源におけるアントラキュアー®の増感効果
395nmの短波長の照射では、オニウム塩系開始剤のみでは硬化しません。
アントラキュアー®を添加する事で工業化できるスピ-ドで硬化を可能にします。
アントラキュアー®は、開始剤の種類を選ばず増感効果を発揮します。

厚膜重合におけるアントラキュアー®の増感効果
開始剤が励起する短波長UV光(橙色)は深部まで届きません。
厚膜重合を行うには長波長(青色)を使い膜の底まで光を届けなければいけません。
アントラキュアー®は長波長UV光を吸収し、開始剤の励起を助け、厚膜重合が可能になります。

着色を低減する効果的な適用例
- UVS-1331とラジカル重合用増感剤UVS-581を併用することにより感度はそのままに硬化物の着色を低減させることができます。
