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多環芳香族重合禁止剤キノパワー(R)(Quino PowerTM)

キノパワー®シリーズは多環芳香族構造を有する重合禁止剤群です。従来の単環芳香族系のHQ(ヒドロキノン)、MQ(4-メトキシフェノール)、TBC(t-ブチルカテコール)等、あるいは遷移金属塩系には見られない、以下のようなユニークな特徴を持った機能性重合禁止剤です。

特徴

  1. 無酸素下でも優れたラジカル重合禁止能
  2. 単一親媒性:
    水溶性/油不溶性(水に易溶で、かつ疎水性有機溶媒には不溶)
    油溶性/水不溶性(疎水性有機溶媒に易溶で、かつ水には不溶)
    (従来の単環芳香族系重合禁止剤であるHQ、MQ、TBC等は両親媒性)
    (表2、3)
  3. 高耐熱性(高沸点、低揮発性):単環芳香族重合禁止剤よりも高沸点、低揮発性を示します。
  4. メタルフリー:アルカリ金属/遷移金属等を含有していません。
  5. ハロゲンフリー:ハロゲン元素を含有していません。
キノパワー®の各種の特徴/用途(表1)
製品名 キノパワー®WSI キノパワー®NES キノパワー®MNT キノパワー®LSN
構造 多環芳香族
スルホン酸塩
多環芳香族
エーテル
分子量     174.2 174.2
水溶性 × × ×
油溶性 ×
特徴/用途 水系重合に好適スケール防止剤、緊急時のクエンチ剤(クエンチャー、ストッパー) 白色化合物、禁止過程を通じて非着色無酸素下で効く無着色重合禁止剤 アクリレートに好適 酢酸ビニルに好適
(低酸化還元電位)

キノパワー®の単一親媒性

水溶性キノパワー®の溶解性(表2)
  水溶性
(g/100g,25℃)
油溶性
(g/100g,25℃)
備考
(溶媒)
WSI >50 0.03 トルエン
HQ(ヒドロキノン)(比較) 10 5.8 トルエン
MQ(メトキノン)(比較) 4.1 69.5 ベンゼン
TBC(t-ブチルカテコール)(比較) 85 30 トルエン

油溶性キノパワー®の溶解性(表2)
  油溶性
(g/100g,25℃)
水溶性
(g/100g,25℃)
備考
(溶媒)
MNT 10 0.1 トルエン
NES 48 難溶 トルエン
LSN 7.5 0.1 メチルセロソルブ
HQ(ヒドロキノン)(比較) 10 5.8 トルエン
MQ(メトキノン)(比較) 69.5 4.1 ベンゼン
TBC(t-ブチルカテコール)(比較) 30 85 トルエン

キノパワー®の単一親媒性を活かした不均一系での応用

  1. スケール防止
    水溶性キノパワー®(WSI)はスチレン、ABS、AS、MMA、アクリル、塩化ビニル、酢酸ビニル等のO/W型の順相懸濁重合での顕著なスケール防止機能が確認され、油溶性キノパワー®(MNT、NQI、LSN)はSAP(高吸水性樹脂)製造等のW/O型での逆相懸濁重合のスケール防止剤への利用が考えられます。
  2. 重合制御
    キノパワー®は単一親媒性なので、油水不均一系では、油溶性キノパワー®(NES、MNT、およびLSN)は水溶性がなく、水には分配されません。逆に、水溶性キノパワー®(WSI)は油溶性がなく、油には分配されません。この性質を利用して、不均一系重合(エマルジョン、懸濁、ディスパージョン)に油溶性キノパワー®と水溶性キノパワー®を併用すると油層と水層の重合挙動を独立して制御することが可能です。たとえばエマルジョン系では油溶性のMNTは油層での濃度、水溶性のWSIは水層での濃度を独立に制御することができます。その結果、油層の重合、分子量、粒径を制御し、同時に水層でのスケール、細粒発生、副生重合等を防止することが期待できます。

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